CASE STUDY 導入事例

導入事例

名刺情報の一括管理から新しいビジネスの開拓へ

FXC株式会社

POINT

  1. 個人ベースだった名刺管理を一元管理
  2. Salesforceとの連携とコストが条件
  3. 初動が迅速になった集めた名刺へのフォロー

個人ベースだった名刺管理を一元管理

浅草の街の喧騒からドジョウの鍋料理で有名な「駒形どぜう」を通り過ぎた落ち着いた街並みに、ネットワーク機器メーカーのFXCが本社を構える。データセンター間を結ぶような大規模ネットワークで使われる光通信技術WDMの装置から、自治体や学校向けの通信機器、マンションやホテルのWi-Fiアクセスポイントまで、多様なネットワーク機器を製造販売する企業だ。最近では、JIS規格の電源コンセントプレートと置き換え可能なWi-Fiや有線LANに対応した情報コンセントがヒット商品の1つ。心斎橋グランドホテルやホテル日航金沢などホテルを中心に利用が進んでいる。  FXCはネットワーク機器を直接販売するのではなく、代理店を経由したビジネスを展開している。一方で、出展した展示会などでは同社の製品に興味を持った代理店からエンドユーザーまで多くの名刺が集まる。同社は営業情報の一元管理を目指し、2015年 に営業支援システムとしてセールスフォース・ドットコムの「Salesforce」を導入した。しかし、

Salesforceを導入した時点では、営業情報の元になる名刺情報の管理までは一元化できていなかった。 FXCで執行役員を務める亀野 昌志氏は、「名刺は、個人の管理に任されている状態でした。ある人の名刺を誰がもらっているのか、あの会社の名刺はもらっているかいないか、そんな基本的なこともわからない状態でした。名刺管理のクラウドサービスを使っている社員もいましたが、ダンボールに埋もれている情報も多くありました。あくまでも個人の管理の範囲だったのです」と振り返る。  名刺管理の必要性を、FXCは会社として認識した。代理店やエンドユーザー、関連する工事会社など、情報量はかなりの量に上る。これらをシステム的に一元管理して有効に活用する方向に舵を切ることになったのだ。すでに営業支援システムとして運用を始めていたSalesforceに、情報を集中させるためのインタフェースとして名刺入力・管理の仕組みを導入することになった。

Salesforceとの連携とコストが条件

名刺管理サービスの導入を決めて、FXCではいくつかの名刺管理サービスを検討候補に上げた。Salesforceへの情報集中を目指すのが基本方針であり、Salesforceとの連携は必須の要件だった。主に検討した名刺管理サービスは、メジャーな名刺管理システム2社と、FXCがSalesforceを導入したtoBeマーケティングの紹介によるPhoneAppliの「PhoneAppli for Salesforce」だ。いずれもSalesforceとの連携が可能で、名刺をスマートフォンのカメラやスキャナーで読み込むだけでデジタル情報へと変換して登録できる。 検討の結果、初期コストを抑えられ取引先との連携がすべて自動化できるPhoneAppliがコスト面、Salesforceとの連携の面で有効と判断し、導入に踏み切りました」(亀野氏)。 もう1つ、FXCでは

PhoneAppliに期待していた機能があった。それがスマートフォンなどで利用できる電話帳アプリのPA Syncの存在だ。PhoneAppliに登録済みの名刺情報であれば、スマートフォンに電話番号を登録せずにアプリから検索して電話がかけられ、着信時には相手の情報が表示される。名刺情報を一元管理するだけでなく、営業の基本ツールである「電話」の利便性と、情報の安全性を高める効果にも期待したのである。そうしてFXCはPhoneAppliを導入し、2017年5月に稼働が始まった。約50人の社員に対して、当初は営業部門のアカウントを用意した。名刺の情報は、スマートフォンのカメラで撮影して登録するのが基本という運用である。

初回取込サービスとして2000枚、その後の運用上の名刺オペレータサービスとして年間1200枚の契約で利用を開始した。ところが少しその読みは外れていたようだ。同社 マーケティングチーム 課長の市川真史氏は、「実は、まだ初期導入の2000枚の登録が済んでいない状況です」と苦笑する。「使ってみてわかったことですが、リアルタイムに収集した名刺の登録数が、当初の見積もりよりも多く、年間1200枚を超えるペースになっています。一方、古い名刺はどこまでさかのぼって登録するのか、判断が難しいところで

す。展示会など一括登録するタイミングで過去の名刺も登録するか、年間1200枚を超える分の新規の登録に初回取り込みサービスのデポジットを回すかなど、今後判断していきたいと思います」。 これまで一元管理をしてこなかっただけに、実際に名刺がどのぐらいのペースで集まるのか、正確な情報がないのも仕方がない。PhoneAppliの導入によって、顧客情報管理の最初のステップとなる名刺のデジタルデータ化ができるようになった。次は、Salesforceと連携した活用のステップだ。

初動が迅速になった集めた名刺へのフォロー

FXCでは、PhoneAppliの導入によって名刺情報をデータ化し、情報の一元管理から効率的なマーケティングの実現を目指す。まずは、セールスフォース・ドットコムが提供するマーケティングオートメーションツールの「Salesforce Pardot」と連携させて、名刺をもらった顧客に対するフォローを充実させることを狙っている。「Pardotを使うことで、展示会の来場者にサンクスメールを送った場合、開封したかどうかといった反応がわかりやすくなりました。一方で、これまでは展示会で集めた名刺の情報をExcelに入力して、Pardotに登録し、メールを送るまでに1週間といった時間がかかっていました。これがPhone Appliの導入で最短で当日中の対応が可能になりました。名刺をいただいたお客さまにできるだけ早くサンクスメールを送って、関心を維持してもらうことにつなげたいと考えています」(市川氏)。  短期的な目標としては、展示会で収集した名刺を午前、午後に1回ずつといったペースでPhoneAppliを使って読み取り、その日のうちにデータ化することを掲げる。さらに、今後はスマートフォンのカメラで名刺を撮影してからPardotでサンクスメールを配信するところまでを自動化することも視野に入れている。

亀野氏は「PhoneAppliを導入したことによる売上への影響といった具体的な効果はまだ見えてきていませんが、マーケティングの初動を早めることにはつながっています」と導入初期の感想を語る。一方で、PhoneAppliの仕様にFXCの使い方にそぐわない点もあると指摘する。「最初に名刺情報を登録した担当者に加えて、後から別の担当者がコンタクトを取ることもあります。PhoneAppliでは名刺情報に担当者を1人しか登録できませんが、これを追加登録できるようなロジックがほしいと思っています」(亀野氏)。使い勝手面ではいくつかの要望はあるもの基本的にはPhoneAppliの導入効果への期待は高い。迅速なサンクスメールの配信とマーケティングへの活用はもちろん、PA Syncの利用による電話の着信相手の把握や、顧客データの共有による顧客訪問の柔軟化など、営業の下支えになる働きに期待を寄せる。期待の表れとして、2017年9月にはPhoneAppliを10ライセンス追加し、22ライセンス体制に拡大した。亀野氏は「今後、個人フォルダの利用なども含めて活用を進めていくと、いずれ約50人の社員全員にライセンスを配布することになるのかなと思っています」と、名刺情報の一元管理から広がる仕事の仕方の変革を確信しているようだった。

FXC株式会社
会社名
FXC株式会社
導入サービス
  • PACD
  • 連絡とれるくん
概要
ネットワーク機器を製造・販売するFXCは、展示会などで集めた名刺情報を活用したマーケティングを推進する。その中で名刺情報の一括管理の必要性を強く感じ、PHONE APPLI for Salesforceを導入した。名刺情報管理の一元化を進め、マーケティングの初動を早めることが目的である。
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